「中江藤樹先生」
わたくしが中江藤樹先生にとりわけ心ひかれるのは、何といっても先生が、その学問の中心概念である「孝」徳の実践のために、当時の特権階級だった士籍を捨てて帰郷し、その母君に仕えられた点であり、また観点を変えれば、先生が「在野の学者」だったというためで、つまり人と学問とが渾然として一体となっている点からです。しかし先生が学者として、徳川時代三百年間に卓越した方だということを知ったのは、恩師西晋一郎先生の教えによるものです。
(「不尽片言」)
「中江藤樹先生」
わたくしが中江藤樹先生にとりわけ心ひかれるのは、何といっても先生が、その学問の中心概念である「孝」徳の実践のために、当時の特権階級だった士籍を捨てて帰郷し、その母君に仕えられた点であり、また観点を変えれば、先生が「在野の学者」だったというためで、つまり人と学問とが渾然として一体となっている点からです。しかし先生が学者として、徳川時代三百年間に卓越した方だということを知ったのは、恩師西晋一郎先生の教えによるものです。
(「不尽片言」)