経営雑感! 坪内壽夫翁の経営発想法
私は坪内壽夫翁に出会いを賜った頃、翁をお尋ねする際、松山空港又は、松山観光港からタクシーを利用しドライバーと会話をしていたが、地元松山市では、坪内翁を英雄視する人々と、強引な独裁者として嫌う人と二分されている傾向にあった。会社再建王と呼ばれ、常人の稼ぎぶりとは桁違いにお金を集めていたので、聴く者の多くは、それをひとつの経営哲学とも、又、会社乗っ取り屋とも感じ、聴き終わってしまっているように思えた。
経営が行き詰まり、業績が悪化して、株価は額面割れ寸前まで追い込まれて、その会社が倒産すると社会的影響が大きく多くの人が職を失い、地域社会も多大な打撃を受ける事になる。そこで関係金融機関をはじめ地域社会の行政や地元出身の代議士・官僚などが、その会社の再建ができそうな人物を探し出し再建を依頼する。たとえ超一流企業の社長、会長であっても、その企業の資金は個人のものではない。ひとつの会社の倒産を食い止めるため、その会社が発行した全株数の過半数を取得するだけの資金を放出し得る者は皆無といってもいい。一族の経営による超ワンマン経営者と云えど、自己の会社が傾くほどの資金をワンマン社長個人の意思で自由に使う事は不可能であり、倒産に瀕した会社には、再建に手を貸す者が何処にも存在しない。
つまり、坪内壽夫翁は、まったく珍しい本物の一国一城のあるじであった。
その翁の元へ倒産に瀕している会社が巨大な場合は、政財界あげて坪内翁の説得にかかる。
今後は、初めに『義理と人情の絆 南松山病院の尾崎院長と坪内翁の絆』続編について、その後は『佐世保重工業再建』の逸話について取り上げます。