森信三先生のことば

「さんしゅゆの花」

一年中でわたくしは、早春の候をもっとも好みますが、そのせいか花についても、おのずから早春の花を好むようです。花の中でわたしが一ばん好きなのはさんしゅゆの花です。ほとんど花ともいえないほどのあの細かな黄色い花の気品に心引かれるわけです。わたくしがまだ大学院の学生だったころ、ある早春の一日を、伊賀の上野に遊んだことがありますが、城下町の武家屋敷の原形を留めている一軒の家の庭に咲いていたさんしゅゆの花は、今でもその情景が忘れかねるほどです。
(「不尽片言」)%e5%9b%b31

シェアする

フォローする