「天道と人道」
それ庭前の落葉は天道なり。無心にして日々夜々に積もる。これを払わざるは人道にあらず。払えどもまた落つる。これに心を煩わし、これに心を労し、一葉落つれば、箒を取って立つが如き、是れ塵芥の為にえきせらるるなり。愚というべし。 (「二宮翁夜話」)
さけることの出来ない落葉をもって、天道すなわち天地の法則を説かれたことは、尊徳先生の透徹した活眼によるものです。そしてその落ち葉を掃き集める、これが人道の務めであります。と言って、いちいち取り掃う事にあくせくせず、朝晩に除去するのが人として当然の義務です。